prêt-à-porter

私が関わった人間は全て私の作品である

「所有欲」


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良いモノや本に出会ったりすると,所有欲が頭をもたげるよね 
でも,私はできるだけ何も所有したくないから本当にモノにしたい時は身体に刻むことにしているの 
そうすれば,ナチも悪魔も奪えやしないじゃない? 


服も本も,私のところにあるのは大抵もらったものとか,誰かに譲ってもらったものだったりして
そんな私のことを親は貧乏性だとか言うけれど,別にケチって買わないわけじゃないんだよね 

ほしい物があれば買えばいいじゃないって簡単に言うんだけれど,そうは思わないだけ 
どうやって買わないで自分のモノにするかが大事なの 
それは自分に対する挑戦であり,勝負なんだ 

良いものに出会った時は,それをそのまま懐に入れるんじゃなくて,フィルターで濾すの 
つまり消化するってことだよね 
ここで(物理的に)所有できない,というハンデを自分に負わせることでフィルターはよりキメ細かく密になる 
消化能力にも限界があるから,何もかも呑み込む訳にはいかないってことを身体と頭が覚えるんだ

それから,所有したくないっていう主張は,対象に所有されたくないって主張にも直結している 
物理的に所有してしまうことで,私自身がそのモノに囚われて閉じ込められてしまう可能性が高まるから,気を付けなければいけないんだってこと
例えば,服だってそう 
自分にはこのスタイルが似合う,とかこのブランドのはピッタリだ,て枠を作るのは簡単 
でも,それは籠のなかで自由を謳歌している気分になっている小鳥.空を忘れかけてる 

身体のラインとか肌の色に合うかどうか勿論気にするけれど,デザインとかスタイルはそんなに気にしない 
あるもので何だって着こなしてやるって気持ちでいくんだ 
古くなっても,切ったりペイントしたりして長く付き合うの 
自分の手の内のカードでどれだけのパターンを生み出せるか,そういう挑戦ってぞくぞくするもん
白い紙に点と点を打って,その2点の間にどんどん点を打っていく,そういう感覚 
刹那を刻んで永遠を産み出していくんだ



文:seioh ezaki