prêt-à-porter

私が関わった人間は全て私の作品である

「いい女とは」

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仮に私が男だとしたら、私は強い女の弱さが見たいし、それに触れたい。それはまるで自分に触れる感触を覚えるからだ。自分の心にも身体にも意識にも自分は触れることができない。それらはこう客観性を持って触れることのできる様な代物ではないからだ。簡単な強さではない、本当に強いものの弱さに触れたい。

完全な不完全者。

私は頑なで一生懸命で前向きにも拘らず迷い苦しみ試行錯誤して生きる人間の味方である。そういう人間は正論と感情の区別がつく。私と会話をする人間が正論と感情を分けられないというのは両者にとって致命的だ。私は不意に人を傷つけたくない。傷つけるのなら意図的にそれをやる、覚悟と責任を持ち。

単なる可愛い子ちゃんに興味を抱けないのはその実、大変に強いものだからだ。そもそも彼女らは不特定多数者の為に変われるという真の強さを有している。でも私が欲しいものはそういう強さではない。この場合、寧ろ弱さと言えるだろう。私は変われない(私が私らしくあることが私にとってあなたに対しての誠実さだから)、だけどあなたが好きだと言える、そういう弱さ(強さ)を私は愛している。

私は普段人間と話す際、私の本気を見せていない、見せられないのである。この本気というものは単に私の理想でしかないだろうし、それは私以外の他者にとってただ闇雲に人を傷つける為のストレス解消的会話なのかもしれない。だけど私の根底には愛がある。そう信じている。だからこそ愛に裏打ちされた自由を私は相手と共に満喫したいのである。

私の女に対する条件は、先ず真に人間であることだ。そしてそれは必ずいい女である、真に女であるのだ。

真に女であるとは。勿論それは人によって定義も解釈も違うだろう。あるいは50年代のフランス映画を観ることによってそれが何なのかわかるのかもしれない。私の理想に過ぎないのかもしれないが、矢張りそれは真に人間であるということだ。宇宙人でなく動物でもなく、人間であるということだ。

私が好きだと思える女というのは何よりも先ず人間的であるのだ。自分の欲しいものを本気で決定し、それに対し真摯であり、そしてそれに伴う覚悟や責任、あらゆる障害とされるものを一手に引き受けることを厭わない、全てを自身の責任のもと回収することのできる、そういう人間なんだ。その途中でゴタゴタと御託なんて一切抜かさない。そういう正義を持つ人間だ。

私の恋は必ずドッペルゲンガーでなくてはならない。その時には私は本気で死んでもいいと思えることだろう。

私には女がいない。それは私が女だからなのかもしれない。私に必要なのは男なのかもしれない。でもそれは恐らく精神的な話で、物理的な話も込ませると私の女は男的女である筈だ。私が女的男であるのとシンメトリーの関係。でもそれは完全なシンメトリーではない、必ずドンピシャリのDoppelgänger(ドッペルゲンガー)だ。

世の女はいい人間になる前にいい女になろうとする。だから世にはいい女が至極少ない。私はそれを悲観しない。寧ろ有難いと思う。ヘテロセクシャルの場合、男の観察眼が問われるからだ。それを見つけて欲しいと願ういい人間を経たいい女は一定数必ずいる。そしてそれと人生を共にできるのは必ずいい人間を経たいい男である筈だ。


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女と目が合った。私はその女を初めて見た。ひょっとすると前からこの喫煙所にいたのかもしれない。でも私はその時までその女を認識していなかった。認識した瞬間、その女と目が合った瞬間を今でも覚えている。女は仏頂面をしていた、私と同じくらい。私たちは一度目が合った、丁度互いに煙を口から吹き出している最中だった。一瞬だったが目が合い、その後すぐに視線を外した。(なんだよ、変なやつと煙を吐き出すタイミング同じだった、最悪。)そう回想し、また気になってその女を見た。女も私を見るところだった。私はその女と会話をしたことがない。でもその瞬間、一度目の目合いと回想ともう一度見るタイミング、全てが同じ工程で今互いが見つめ合っていることを感じ取れた。

私にはもうその女と会話をする必要がなかった。会話せずにコミュニケーションが取れた場合それ以上に一体どんなコミュニカシオンを求められるのだろうか。私は半分も吸っていない煙草を草むらへ捨てそこを去った。吐き気がした為だ。まるでドッペルゲンガーだ。たまったもんじゃない、こんなところで死んでたまるか。歩き出し数秒すると先いた場所から「大丈夫ですか?」という何人かの声が聞こえた。私は歩きながらそちらを一瞥した。どうやら先程の女が草むらに吐いている様だった。

草むらは煙を立てていた。


※作り話である。


誰も私を救えない
私を救えるのは私だけ
でもあなたは私を救う
なぜならあなたは私だから


ドッペルゲンガーな恋しか信じない

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@ 秋人間