超短編集3
- イヤーフォンとヘッドフォン。あなたはどちらがお好み?私は勿論ヘッドフォンよ。だって音が大きいでしょう、こちらの方が出口が大きいのだから音が大きくて当然じゃない。私小さいのって嫌いなの、だってつまらないでしょう。でもあなたのそれは好きよ、その小ぶりであなたの耳に律儀に収まる真っ白なイヤーフォン。
- 音楽を流すと女はベース音を拾い足の指だけを小刻みに動かした。私が音楽を止めると自然と女の足の指も動かなくなった。また音楽をかけると女は同じ様にリズムをとった。それを繰り返しているうちに私はすっかり眠りに落ちてしまった。目を覚ますと女が私の足の指を動かない様にと縛っていた。
- 頭痛が酷くなり私は吐き気を催した。そういうことのできる場を探しながら私は炎天下に街を這いずり回った。そのうち耐えられなくなり私は跪(ひざまず)いた。頭を上げると真っ白なワンピースの女が立っていた。「求婚でしょうか?」更に強く吐き気がした。私は力を振り絞って言った「結婚して下さい」
- 大きな汽車が真黒の煙を上げ私の前を通り過ぎた。でもそれは蟻にとって大きいだけで私にとってはとても小さい。「ジオラマの世界へようこそ」そう書かれた看板に誘われ迷い込んだ都会のある一角にあるジオラマ展。私の好みの街はそこにはなかった。でもそこを出ると私の好みの街が私の目の前に出現した。
- 食事、排泄、性交。全て「エロス」な筈なのに何故食事だけは簡単に見せられると思う?私それについて何日か考え続けた時期があってね、納得いく答えは出なかったんだけど、ある時答えに近いものを見つけたの。ねぇ聞きたい?でもその前に私と食事をしてくれる?それとも私に排泄を見せてくれる?それとも…