「国歌と戦争」
メキシコ戦のブラジルの国歌斉唱。
私は映画『カサブランカ』を思い出した。
これこそが戦争である。
自分の国を誇りに思い自分を奮い立たせ相手を圧倒する。
自分の国に対して何の疑いもない、自分らには仲間がいて、目の前に戦って倒すべき敵がいる。
これ以上ない。
これが戦争だ。
まず先にメキシコが大声で国歌を歌った。
ブラジルはそれを凌ぐ、会場にいるサポーター全員が歌う。
最後は音楽が途切れ、アカペラで。
ダビド・ルイスのあの口の開き方、、ネイマールは歌い切る前に涙。
戦争なんだなって思うわけ。
自分の国の国歌を疑いもなく、大声で歌えていたら私もいくらか人生が楽だったろうなと思う。
君が代も自分の国の国歌すら歌えない。
私が歌えるのは、北朝鮮の国歌である「愛国歌」だけだ。
疑いしかない。
私は決して「北朝鮮人」ではないのに。
『カサブランカ』という映画を知ってる?
ハンフリー・ボガードという渋い俳優さんが出ているのよ。
BARでドイツ人がドイツ国歌を歌うシーンがあるの。そしたらね、そこのピアノ弾きがフランス国歌を演奏して、今度はフランス人がみんなでフランス国歌を歌うのよ。あんなに素敵なことはないわよね。
それがまさにメキシコ×ブラジルだった。
私が2014年W杯を忘れることはない。
私は見てはいけないものをサッカーの試合中に見ていた。
祈りという行為がどれほどエロティックであるか、私はこの大会で初めて知った。
※ブラジル国歌(一番)
イピランガの静かな岸辺は聞いた。
轟く人々の雄たけびを。
そして自由の太陽は、
この瞬間に明るき光を導いて、
祖国の空を照らし出す。
我らの強い腕で得た平等の証。
汝の胸に、おお、自由。
我等の心は死をも恐れない。
おお最愛の麗しき祖国、栄えあれ、栄えあれ。
ブラジル、それは荘厳な夢。
愛と希望の鮮やかな光が地上に降り注ぐ。
清く微笑む汝の美しき空に、
南十字星はまばゆく輝く。
雄大な大地、それは美しく。
それは強く、恐れを知らぬ巨人だ。
そして汝の偉大さが、汝の子孫の未来を照らす。
おお、我等が崇める大地。
数多き千の国の中で、愛しき祖国、汝はブラジル。
国の子の優しき母。
最愛の祖国ブラジル。
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