prêt-à-porter

私が関わった人間は全て私の作品である

映画『もののけ姫』

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《最初の出会い》
サンがお母さんの傷口から血を吸って、ぴゅっと吐く。
【目が合う】
アシタカが大きな声で名乗り出る。
サンの〈生理〉とアシタカの〈挨拶〉。
 
要するに、アシタカはサンとの最初の出会いで既に相手の親への挨拶を済ませているのだ。
しかも、大きな声で名乗り、出身地まで言っている。
後々、モロは「あの若者と生きる道も…」と勧める。
モロは、グルグルと威嚇していたが、アシタカが誠実で素晴らしい若者だとわかっていたのだ。
 
山犬の娘に「美しい」という超人間的な言葉を与えることにより、サンとアシタカとの本当の人間としての、異性としての〈出逢い〉が完成する。
【愛の告白】である。
 
サンとアシタカの〈ファーストキス〉は、エロス以外の何物でもない。
生きるために、食べ物を口移しする。
エロス、タナトスとエロスのエロス、生です。最高のキス。
 
【結婚式】
サンとアシタカがシシガミの首を二人で持ち上げる。
 
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もののけ姫』は、アシタカが己の呪いも忘れ、サンに一目惚れし、共に生きるところまで何とかこぎつけた「恋愛映画」でしかない。 
 
山犬に育てられたサンに「美しい人間だ」と伝えることにより、呪われた山犬の娘は、本当の自分(人間であること)に気付き救われ、それをしたアシタカも、また己の呪いを忘れてしまう程サンを愛し、救われる。
 
 

何の因果か、アシタカは呪われることにより、〈運命の女〉と出会うことになる。

 
それも村の女を救おうとした善意からの射矢がきっかけである。
村の女が呪われるくらいなら、私が呪われるという覚悟。
アシタカは、真に「男の子」だ。
 
カヤがサンだとすると、アシタカはあの時点でサンを救っていたのである。
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カヤにもらった玉の小刀をアシタカが、サンにあげたことに納得がいかない?
 
アシタカの、あの矢を射る時の覚悟を知らないのか?
カヤの代わりに、死の呪いを受けた。
十分にカヤを守った。
その代償としての、カヤからの愛の告白(玉の小刀)だろう。
 
髪を切り、村の人間として追放されたアシタカは、死に向かう為に生きた。
そして、生きることの大切さを知るアシタカは救うべき対象を見つけた。
 
それがサンだ。
アシタカの「生きろ!」 の意味は重い。
(カヤとサンの声優は同じ)
アシタカは、覚悟を決め、たたり神に矢を射ることによってカヤを救った。
仮に、カヤをサンだとすると、やはりあの時点でサンを救っていたのだ。
エボシもサンも精神的に呪われているが、身体的に呪われているアシタカが、その二人を救う。
 
 
私は小谷元彦Human Lesson(Dress 01)』を想い出す。
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