〈私の〉太田光さん
太田光のカッコよさ(可愛さ)は、自分でも言いたくもないようなことを言いながら、その場の空気を読み、後悔しているところ。
(たぶん、言った直後に後悔が始まる。)
まぁ言いたいことではあるのだろうが、そのクオリティに一度も納得なんてしたことはないだろう。
厳密には、言いたいというか、いま言えること、(ものすごい葛藤の中)渾身の力を振り絞って出てきた言葉って感じかな。
言いたくないのに恥ずかしくて言ってしまう、またそれが恥ずかしい、その繰り返し。
目立ちたいという思いと同時に、「恥ずかしがり屋」が出てきてしまう性(さが)。
いつだって背反する自分の気持ちに正直に向かい合う。
周りから見たら、つまらないのかもしれない。
確かに、単なる「リハビリ」、独りよがりの「芸」かもしれない。
だけど、私は彼を見るたびに自分の生き方が間違いではなかった、と確信を持てる。
勇気が出るんだ。ああなりたい。
お祭りは好きだけど恥ずかしくて、その場にいることすら辛い。
彼がラジオ番組で、村上龍を前にして龍と春樹を比較し言った「(春樹のように)自意識の揺れなんか書いてもつまらないですよね?」に、龍も苦笑いをしていたのが懐かしい。
彼の「優しさ」(繊細さ)に気づける人間が、この世にどれほどいるのだろうか。
目立ちたがり屋でシャイな、
気弱なのに強気な発言をする、
いけないことだとわかっているからこそタブーに挑戦したくなってしまう、
優しいのにそれが上手く表現できない、
「自分勝手」で気遣いの、
天邪鬼な彼。
大好きで、尊敬する、〈私の〉太田光さん。
秋