prêt-à-porter

私が関わった人間は全て私の作品である

絵本『二人の王子様』

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一番大切なものは口約束と命です
 
例えば、前世で約束をしている王子様が二人いるとして、あなたはどちらの王子様を選ぶ?
 
一人は、あなたとの待ち合わせ場所で、何分も何時間も何日も何年も待っている王子様。
 
もう一人は、あなたを血眼になって探しに探す王子様。
 
前者はあなたを信頼している(のかもしれない)。
 
後者はあなたを信頼していない(のかもしれない)。
 
私はね、ただひたすらに待っている王子様が好き。
私、ちゃんとそこに行くもの、是が非でも行くもの、また来世になったとしても行くもの。
 
ストーリーはこんな感じ。
おそらく、血眼になって私を探している王子様に、私はもう一人の王子様と待ち合わせしている場所に向かう途中で会うの。
 
もしかしたら、それで来世になるかもしれないわね。
でもね、私は私を探してくれる人に割に興味がないのよ。
それがどんなにいい男でも。
だって、私は約束をしているんだもの。
私にとって、口約束と命が一番重いものなの。
 
私はね、約束は守るの。
だって、その瞬間こそが永遠だと信じたいから。
それを証明したいの、私とあなたとの間で。
 
だから私は、私を探しに探す(ものすごく格好いいかもしれない)王子様を、剣で刺し殺して、約束の地へ向かうのよ、随分と遅れてね。
男一人殺すのには、それなりに時間がかかるのよ。
 
私ね、約束の場所で会った王子様がどんなにブサイクでも構わないの、もう本当にどうでもいいのよ、そんなこと。それよりも約束をした場所で会えることが、本当に嬉しいの。
それにこれだって、全部私が決めたんだから。
 
それで随分と遅れて、王子様に会えた時にね、私は噓を言うのよ。
 
「ここに来る途中で、私を血眼になって探す王子様が現れたの、その人がとんでもなく格好よかったのよ。それでその人と恋をしたの、だからその人が死ぬまでここに来れなかったの、ごめんなさい」
 
血の付いた剣を王子様に差し出し、私は喉元を晒しながら、続けてこう言うの。
 
「あなたは汚れた女になんて興味がないでしょう、さあ、私をお斬りなさい」
 
王子様は剣を手に取り、間髪を入れずに私の頭と胴体を真っ二つに斬るの。
 
私ね、それで本当に幸せなの。
だって、王子様と会えたのだから。
 
血が飛び散る、漆黒の闇夜。
 
私は首を斬られながら、こう思うの。
 
〈私が他の男に靡くわけないじゃない。何よりの証拠が、私がここにいることじゃない?〉
 
さて、王子様は首を斬りながら、どう思っていたのでしょう。
 
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永遠
「全部完璧を目指したお芝居」
 
「演じきってこそのフィナーレ。
お互いの信頼の元でのいのちのやりとり」
 
「全てがこのまま噓ならいいのに
でも全てが真実で,事実なのね
私は幸せ,あなたに殺されて
そしてあなたも幸せ,私を殺せて」
 
「これこそが私たちの信じた永遠ね」
 
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@ 秋人間