超短編『黄色よ』
私はあなたに話しかけた。
「この黄色いネクタイと青いネクタイだとどちらが今着ているスーツに合うかな?」
あなたはうつむきながらペンを走らせていた、何の返事もなく。
私はもう一度あなたに話しかけた。
「今少し話してもいいかな?」
あなたはようやく返事をした。
「謝罪が抜けている、私は今明らかに何をしている?」
私はすぐさま謝った。
「あなたが手紙を書いていることは明らかなのに突然話しかけてしまい申し訳なかった」
あなたは答えた。
「それで?」
私は二つのネクタイを持ち直し答えた。
「ええと、この黄色いネクタイと青いネクタイだとどちらが今着ているスーツに合うかな?」
あなたは左手の人差し指を伸ばして答えた。
「黄色よ」
2014.12.27.
@pongseon 秋