prêt-à-porter

私が関わった人間は全て私の作品である

「Sent from iPhone 」



友達が辛いとき、苦しいとき、自分は何かをしてあげたいのに、何も出来なかった。 
思い浮かんだ言葉は「大丈夫」と「頑張って」。 
でも思慮に欠ける言葉として響きそうで言えなかった。 



気分の上がり下がりは人間としてあるし、場面場面であせることもあるけれど、基本的には安定している。 
15の時は違ったけれど、訓練によって大分落ち着いたし、強くなった。

でも、強いことに、幸運であることに、健康であることに自分は慣れすぎていた。 
弱い人、幸運じゃない人、健康じゃない人の痛みを理解しようとしなかった。 
物事が上手くいかなくて困っている人、不平を口にする人を、努力が足りない怠け者だと考えていた。 


ここ最近、つらいことがいくつかあった。 
馬鹿げたことでも、つらいものはつらい。圧倒的につらい。 
寂しい、切ない、怖い、泣きたい。 
携帯を持って、思い当たる。 
自分には、電話をかける人がひとりもいない。 
こんなにもつらいのに、それを打ち明けたいと思える人がひとりもいない。 

同時に、自分の友達の誰かが、本当に本当に辛い時、自分に電話をするだろうか。 
答えは、ノーだろう。 

失恋した、又はなにか悲しい出来事があった、泣いている。 
というのは、とても感情移入しやすい。自分も苦しくなる。励ましやすい。 
でも、例えばこちらから見たら「くだらない」「努力が足りなかっただけじゃない」「そんな些細なこと」と思えることで傷ついている相手は態度で表さないにしても、軽蔑していた。 
現実的な人間ではあったけれど、想像力が乏しかった。 
そんな自分を、友達はきっと本当に辛いとき、頼らないだろう。 


優しくなりたい。 
辛いとき、誰かに電話したいと思ったとき、電話できる人がいないなんて思って欲しくない。 
辛いんだという君に、偽りのない優しさで応えてあげたい。 
優しくなりたい。 

Sent from iPhone

文:shiho yokoyama