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prêt-à-porter

私が関わった人間は全て私の作品である

『僕はエリーゼの為に』

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2011年08月13日00:10


エリーゼのために」が流れた。机の上にある携帯が震えていた。量子力学的に言えば、それは私には詳しくはわからないが、厳密には人間だってものだって何だって小刻みに震えているらしい。20世紀の象徴であるコンクリートの壁を人間の拳で殴った場合、とんでもない確率だが、すり抜けても何らおかしくないと聞く。私たちは21世紀へどのように向かったのか。拳で壁を壊したのか、すり抜けたのか、それともその壁を全身のバネを使って飛び越えたのか。越え方にも色々な越え方が存るし、また超えなきゃいけない壁なんてものも実際は一切存在しない。全ては自分の思い込みだ。it's up to you.

電話が鳴った。携帯は矢張り震えていた。鳴るのと震えるのとではどちらが先なのだろうか。卵と鶏どちらが先かなんて馬鹿みたいな話にはしたくない。完全なる対等がないように完全なる同時もないだろう。例えば本気で対等な状態を望むのであればヨーイドン!の合図を聞いてからほんの少し遅れてスタートすることを私はオススメする。

電話が鳴った。そして携帯は矢張り震えていた。雷の光と音が同時に感じられるような状況を夢見ながら、僕は「エリーゼの為に」のサビが終わるまで待った。僕にちゃんとした用があるらしいくらいに電話は鳴り震え続けていた。「もし?」僕は電話に出る際には必ずもしもしとは言わない。この方がエコなんじゃないかと考えているからだ。嘘だ。電話の向こう側からは何の音もせずに、切れた。非通知だった。僕は非通知でかかってくる電話を愛している。何故なら思いを馳せていた女からかかってくる電話はいつも非通知だったからだ。嘘だ。非通知でかけてくる相手というのは僕に恐れがあるかまたは敬意を払っているかのどちらかだからだ。あるいはその両方だろう。事前に登録された電話番号からかかってくるというのはとても対等な状況である。私は完全なる対等を求めると同時に、対等でない状態をも楽しむ。後者は私に愛を持ってくれる人がする私への依怙贔屓みたいなものだからだ。


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