prêt-à-porter

私が関わった人間は全て私の作品である

私の叫び vol.71

 

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  1. 相変わらず人と会うことをストップしている。みんなが嫌いなわけじゃない。でもこのコンディションでは無理だ。全員殺したいと思っちゃうからだ。私は人と会う時には、みんなはそうは思わないかもしれないが、めちゃくちゃ気を遣っている。もう本当に死ぬ程だ。適当そうに見えるのもわざとだ。全部本気で噓だ。
  2. 私には偏見があります、これもアリだ。これが少し前までの私の立場だ。でも、それは思考停止じゃないのか。私にはどんな偏見があるのか。まずは考えてみた。詳細は割愛するが、私にどんな偏見があるか、全ての偏見を挙げられなくては、私には偏見があります、とは到底言えない、私の論理では。
  3. 私が思うに、いい偏見と悪い偏見があって、しかしそれはこの社会で生きていくためには、ということだ。だから偏見をなくせ! と言うことはある意味、無責任だ。本当に全ての偏見をなくせば、私たちは何もしないだろう(私はそれを望むが)。全ての偏見をなくして、曇りなき眼でこの世界を見たくないか?
  4. ざっくり言ってしまえば、私がやりたいことは、偏見をなくしたい、だ。それはみんなのというよりかは、まず自分の中にある偏見をなくしたいんだ。私には偏見がある、と思っていたが、おそらくみんなもそうだが、自分が思っているより、私たちは偏見に支配されている。伝えることはとても難しい。全ては偏見で生きているんだ。
  5. 自分の生き方や、やりたいことが見えてきた。仕事の上でも、とんでもない野望が見つかった。私は、弱者という立場に身を置きながらも、更にそこで自分を疑い、追い込み、鞭を打つ、一つも諦めずに希望を持って生きる人間と「ともだち」になりたい。そういう人間でありたい。それは私を救うからだ。
  6. 透明人間だ。透明人間だから、ここに私はいない。周りからは見えない。私が誰かに触りたいとして、触ろうとするとスルッとすり抜けてしまう。私からは見えるのに周りからは見えない。そういう生き方。例えば、あなたが透明人間なら私のことを認識できるのかしら。だとしたら、どうやって?
  7. 人にお願いするってことは、それがたとえかなわなかったとしても、その人を恨んではならないの。そのすべてを自らが背負いこまなくてはならない。
  8. バスに乗る。全ての席が埋まり、〈私たち〉は立っていた。停車する度に立つ人がいなくなっていく。いま、私以外に立っている人はいない。そして全ての席が埋まっている。後部座席は本来なら五人席だ。しかし乗車した時から四人しか座っていない。荷物を持つ主婦が端に座っている。その荷物が私だ。
  9. 永遠、遠ざかる
  10. タイムラグを認めない世界
  11. タイムラグが永遠だったのに
  12. 永遠を手放している
  13. 本当の本当のところで、真面目な話ができない人がいる。なんの違いなんだろう。ちゃんとゆっくり相手と歩調を合わせようとする優しさというか、空気感で今こいつにとっては大事なことを言っているんだなと察する力、空気を読むとかそういうのではない。ある種の反射のような。
  14. 永遠はどんどん遠ざかる。私たちはタイムラグを認めなくなった。タイムラグが永遠だったのに、今ではタイムラグなんてありえない。だから私たちは永遠を手放しているのよ。
  15. 私は論理的であるわけではない。私はただ単に「脳」に支配されている。身体的感覚や直感がもう少し表に出る環境を整えたい。本当はふわふわに赤ちゃんみたいに生きたい。しかしそうさせないのは、周りや環境のせいではなく、私が外に心を開いていないからだ。
  16. 私の「優しい」という性質は、私の核や本心に近いところにある。そこに誰かが到達する時には、それを表出するときには、私という人間の輪郭ごとなくなっている時だと思う。そんなのがいい。私の「優しさ」を一度でもいいから出してみたい。それ以外は小手先だ。本当の私には触れさせない。
  17. でもその「人」は、誰だっていいわけじゃない。おそらく私の選んだ人なんだよ。私のルールが特殊なんだろう。非常識なんだろう。私のことを本当に優しい、と評価する中にも二種類あって、そのうちの一つは私には納得できない。もう一つは多少はわかるという程度。私は優しくない。意地を張っているだけだ。
  18. みんなさびしいと言うけど、本当にさびしいと思っている人は少ない。人がいないとどうしようもない人もいる。どうしようもないのだけど、そこにはプライドがあって、人がいないと生きていけないことを隠して生きている人だっている。人に会いたくないのは、裏返せば、「人」を欲しているからよ。
  19. おはようと言って、おはようと返されることで心が震えるような経験がしたいんだ。そんな一言でそこまでわかってもらっちゃ困るというような感覚ーー。例えばそれができればもう何もいらない。それがなかなかできないんだよ。本当に相手に殺されても犯されても何されてもいいと思えないとできないんだ。
  20. 例えば私の理想の恋愛は、互いに自立している人間同士が、互いの領地や領海を侵犯することで成り立つ。自分が所有しているものを全て相手に奪われたい。正々堂々、真っ向勝負で奪い合いたいんだ。愛し合っているからこそ、殴り合い、泣き合い、殺し合う。傷が癒えないように舐め合えばいい。
  21. まず自分が成り立たなくては他人と関わってはならないと思う。そういう意味で私は本当に自分の足で立っているのか。私は今でもそう立っていると思っている。私が19から考えてきた人との接し方は、どんな「馬鹿」にもわかるような仕組みなんだ。礼儀とも常識とも慣習的なものとも言えないが。
  22. 父が言うには、人間の性格や性質、考え方は、環境によるものも多いが、ほとんどはその子の持って生まれたもので作られている、と言う。となると、そういう使命を持ってこの地に降り立ったということが納得できる。家族だって、全然違うんだよ。だから私には私の生き方がある。慰められたい訳ではない。
  23. でもだからこそ、私は19の時から、「考えて」きたと思っている。それもとんでもなく無意味なことを考えてきたのかもしれない。他者とのコミュニケーションはいつだって難しい。19から本当に見知らぬ人とのコミュニケーションを実践してきた。うまくいくこともあるし、そうでないこともあった。
  24. 例えば、男ウケのいい洋服を選ぶ女がいるが、それとは私たちは違う。彼女らはターゲットを全ての異性としていると思う。だから、そこで引っかかる人から選べばいいのだ。私は違う、とても複雑なんだ。あなたがいい、そう決めた相手に認められたい、褒められたいんだ。それはなかなか起こらない。
  25. 面白いね、1日5食の日もあったり、何も食べないでいられる日もあったりするのも納得はいく。私は病気なのかもしれない。それでも全然構わない。病気でない人間なんていない。さて、このさびしいという感情を分析していきたい。みんなそうだが、認めてほしいんだ、褒められたいんだ。それだけだ。
  26. 父は私を摂食障害なのだと言う。精神分析医のヒルデ・ブルックは摂食障害を「食欲の病気ではありません。人からどう見られるのかということに関連する自尊心の病理です」と指摘している。それにはぴったり当てはまるだろう。どんな病名をつけられても一向に構わない。私は確かにここに在るし、生きている。
  27. 昨日、父は言った。「中学校までの君を見ていて、もう大丈夫だな、と思った。でも高校の時の君を見たときに、ダメかもしれないと思った」。言わんとしていることはわかる。私はその高校生までの自分が死んでも許せなかったから、19歳で生き方を変えた。ガラリと変えた。それは今にまで至っている。
  28. さびしさが気合いでどうにでもなることは知っている。でもそれを選択するときには、この世から人間が一人もいなくなったときではないのか。「価値観」が合わないから別れるのではなく、生きた心地がしないからではないのか。生まれてこのかた一度も「生」の実感がない。真っ赤な他人が私を証明してよ。
  29. 太宰治中上健次三島由紀夫の「さびしさ」、それはそれぞれ違うだろうけど、根底にあるものは同じなのではないか。人を欲することを許されない己の生き方があり、反面、どうしても人を欲してしまう。入水自殺したり、がんで死んだり、割腹自殺したりと結果は異なるが、凄くさびしかったんだと思う。
  30. ひとりよがりなのはわかっている。これが常人の行き方と違うことも承知している。それでもこのように生きた人だって、過去いるのではないか。芸術家たちなんかはどうか。本当にしようもないことで絶望的になって、どうしたって誰かに救ってもらわなくちゃ成り立たないことってあると思うんですよ。
  31. 日本に住む者だからか、我々には季節がある。季節というか、時期がある。みんながおかしくなる・悩む時期が確かにある。そして、その人個人がおかしくなる・悩む時期や周期みたいなものよもある。データをとってわかったことです。季節の変わり目ってみんなおかしくなるんだね。
  32. いつもいつも嫌われているのではないかと思って何もアクションを取ることができなくなる。恐いんだ。それが、ひとりよがりだとしても恐いんだ。
  33. 嫌われない保証があれば私はなんだってできる。しかしどれほどジャブを打ってもわからないことがある。そこからはもう生き死にの戦い。そこに行くにはあまりにも情報が少なすぎる。直感的なものを私は信じている。だからこそ、全て下調べをする。その後になって直感が正しかったことを納得するのだ。

 

私の叫び vol.70

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  1. 究極の選択。その時には、私はあなたの望む方をあげない。私はちゃんとあなたに事実だけをあげる、それで私がどれほど恨まれようと。
  2.  
  3. 「騙された」とたまに言われるのだけど、「騙された」と言えることが逆に凄いと思ってしまう、たとえこちらが騙したとしても。私なら恐らく騙された自分を呪うだろう。というより騙されたなんて経験はない。なぜなら、相手が騙したかどうかは二の次だからだ。私は私が信じたものを一生疑わない。
  4.  
  5. 例えば一生背を向けていたとしても「愛してる」ってことは変わらないのよ。それを愛してると捉えられないなら、対象を自分で無理やりにでもこっちに向かせなくてはならない。そんなこともせずに、「もう愛してない」と勝手を踏むことは裏切りに他ならない。
  6.  
  7. 一般的には誤りであることを知りながら取っている私の行動を、私が思うよりもわかっている人がいると知ることがある。私はその瞬間、もう死んでもいいと思える。だって私、自ら裏切ったりしないし、従順なのよ。裏切ったように見えるのは、あなたの心がそうさせているのよ。
  8.  
  9. その時、私はあなたのために、「私を殺して」動くことになる。それができる私をあなたには信じて欲しかった。
  10.  
  11. あなたがウサギだと最初に宣言してくれるのなら、私は一生爪を立てない。そして不思議なことに私としては、爪を立てないことが私の全力でないこととイコールにならない。最初の契約だけしっかりしてくれれば、いいの。それに従ってマックスやるのよ、私は。でも誰も評価してくれない。
  12.  
  13. 私はトラで、出会う人出会う人みんなウサギなの。でもね、私は私に近づいてくるのだから、あるいは私が近づいても逃げないのだから、同種の生き物だと最初は思うの。それが最初の契約。だからね、思いっきり爪を立てて戯れるの。すると、次の瞬間、そのウサギは死んでいるの。とてもかなしいよ。
  14.  
  15. 私は私から人を裏切ったことがない。だけれども不思議なもので、ほとんどの人は私が先に裏切ったと思っている。だから私はね、仕方がないと思うのよ。最後には、ごめんねって言うの。私がごめんねという時、その時には、その人に対して興味がなくなっているのよ。その怖さを知らずにみんな私を裏切り者扱いする。
  16.  
  17. あなたが私を求めた時、私があなたを無視する瞬間、あなたは「飛びっきりの愛」を感じなきゃダメなんだよ。私が無視しているのよ。わかるかしら。普通の友達相手に私が無視をしますか。家族相手に無視をしますか。何故しないのか。そんなことは最初の契約書に書いてある。
  18.  
  19. 私はね、簡単に人を裏切ったりしない。でもだからこそ、私が命を捧げるからこそ、盲目に私を信じてもらえないと復讐してしまう。確かに勝手かもしれない。でもそれほど私はちゃんと、この命を捧げている。例えば私が私を裏切った時には、市ヶ谷駐屯地で割腹自殺する覚悟なのよ。
  20.  
  21. 殺すのも殺されるのも結局、同じだから愛してる。
  22.  
  23. 私が言うことを信じろと言ってそのまま信じない人って大嫌い。私がよ、私が信じろと言うのだから悪くするわけないし、任せろって言ってんだから信じるだけ。それができないなら終わりなのよ。
  24.  
  25. 「わたしたちの」「わたしたちが言う」「私達の」「私達が言う」「私たちの」「私たちが言う」なんて言葉は、どんなに口が裂けても言えない言葉だとわかっている“私達が言う”のだから〈私達〉は幸せだ。
  26.  
  27. すごく変だけど、お勧めした映画を観ないあなたのことを大変信頼するんです。例えば、私がお勧めした映画をあなたが観たとしても、それは私がお勧めしなくとも観た映画なのだと思います。そういうところが、私としては大変喜ばしいんです、私なんて存在してもしなくても構わないと思わせてくれる点が。
  28.  
  29. でもね、あなたは私がお勧めしなかったら、その映画を観ていないんですもの。最後に勝つのは私だからおもしろい、と構造は似ているのかもしれない。
  30.  
  31. 私がアーティストになれないのは、社会の一部としてしか生きていけないとんでもなく弱い存在だからです。アーティストなら国にだって人にだって頼らなくても一生食っていけるはずなのよ。
  32.  
  33. 私たち在日は、日本国に住まわせてもらっている身分なのだから、ヘイトスピーチがどれほどひどくたって何の文句も言ってはならないと思うの。言い方が違うな、どんな表現の自由も認めるべきだと思うの。結局ね、そいつらに文句があるのなら私を殺しにくるはず。その時にね、私は絶対に相手を返り討ちにするわよ。
  34.  
  35. ある女は、男とセックスするとき、自分の中の男が自分の中の女を犯している、と言った。だから疲れているのは男ではなく、私なのだ、と。
  36.  
  37. 私が聞くのは、あなたのことが好きだからなのよ。
  38.  
  39. あなたが私を見ていて、私があなたを見ているのよ。これ以上何がいるの?
  40.  
  41. 「自ら選択し、責任を取る」
  42.  
  43. 君が結婚するなら、僕も結婚をするよ。
  44.  
  45. わたしにとって、物心がついてから初めてできた友達でした。その人とは大学生の時に出会いました。出会った当初からではないにしろ、互いに、気づくと、いつも同じものを見て同じように感じ、同じように怒ったり笑ったりしていました。目が会うときは、もう心の中が交換こしたみたいになっていました。
  46.  
  47. 男女の友情は成り立つ。男が女を女として見ないから。あるいは、男にとってその女がタイプではないから。または、その相手を異性ではなく、人間として見ているから。その友情は成り立つが、とつてもギリギリだとは思う。でも、成り立つ。
  48.  
  49. ともだちの結婚が決まって、泣きそうになるのは初めてだ。結婚式でその人に会ったら、泣き崩れてしまいそうだ。当日、わたしはそんな様子を一切見せないだろう。それでも、わたしが心の中では、あなたを見て泣き崩れているのを、あなたはちゃんと見るだろう。だからこそ、わたしたちは「ともだち」なのよ。

 

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何番がお好き? vol.69

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  1. 腕をよく上げて動いている女の子は可愛い子ぶっているわけではないことも多い。それは自身の巨乳を隠すためにやっていることであったりする。それを可愛い子ぶっているから嫌い、と判断するのは私の最も嫌いなことだ。相手の本当に隠したいものに気付き、それをどう処理するかが、私の仕事。
  2.  
  3. 極力、私はひとと関わりたくない。本気でないひとがひとと関わるわけでしょう。そこをつくと、結局「なに熱くなってんの」「なに本気になってんの」的な戯言をぬかす。勘弁してくれ。その温度が違うことはこちとら承知よ。だからこそ、そこは絡むひとが相手の温度に合わさなくてはならないのよ。
  4.  
  5. あなたは、飛躍が過ぎてまともに目の前の相手と会話ができていないことを顧みず自身の妄想からくる取って付けただけのあくまで個人的な見解である虚像をそのまま相手に押し付けながら会話を進めるその根性が考える葦であるとされる人間として他者を人間を生き物を馬鹿にするような態度であることに気付かない。
  6.  
  7. 人前で喋るということは、その時に黙る自分を殺し、また喋る相手を殺すことになる。
  8.  
  9. 「こういうこと言いたくはないけど、『在日』ってのはこの日本ではゴミクズなのよ。日本に渡ってきた一世たちは泥すすって生きてきた。その子孫であるあなたがね、日本で地方参政権だろうと永住権だって、ヘイトスピーチに抗議する権利だって自ら求めちゃならないのよ。映画『ゴッドファーザー』を観なさい!」
  10.  
  11. 立場を知れ。私たちは潜在的犯罪者だ。そんなことは相手の立場に立てば、容易に理解できる。だったらどうしなきゃいけないかってのが問題で、日本に住むってことは日本人になるってことだよ。となると、日本人になろうと努力しないといけないんだ。それをさ、道外して助けてください、はないだろう。
  12.  
  13. 私にとって、いい映画やいい本の条件は、一瞬でも「人を殺したい」と思わせてくれるかどうかだ。
  14.  
  15. 「こんな汚い川でよく生きていられるよね」と人は言うけど「こんな汚い川だからこそ生きていられるのよ」。
  16.  
  17. 日本語が、というより建設的な話し合いができない人間が、なぜこうも人と話したがるのか、私には理解できない。祖国の言葉ではなく、生まれ育った母国語を扱えないなら、死ぬしかない。ひとと関わるには条件がある。そして、もちろん礼儀やしきたりも知らなくてはならない。
  18.  
  19. 他者と会話をするとき、相手の一言が一体どんな背景から、どんな意図で出てきたのかを考える。大体において予想がつくのだが、その確証がないままに次のターンに移ろうなどとは思わない。なぜなら、その意味を取り違えていたら、後々になって一切「対話」をしていなかったことになりかねないからだ。
  20.  
  21. 察しが悪いのではなくて、私があなたにその能力を使っていないだけなの。それを喜べないのなら、死ぬしかないわ。要するに私の前では、近しい者は、一周して全くの他人となるのだ。でもそれは私からすれば本当に尊いものなの。ただ信じるだけ。それ以上何かいる?
  22.  
  23. あなたにとって私が完璧なら、私はあなたの世界に必ず存在しない。
  24.  
  25. 戦場ヶ原は誰にでも救いの手を差し伸べる阿良々木のことを運命の相手だと思えた。恐らくあそこにいたのが戦場ヶ原でなくとも阿良々木は救おうとしたに違いない。そういう運命性に戦場ヶ原は賭けたのだ。決して戦場ヶ原を救う為だけに生まれてきた訳でない阿良々木だからこそ戦場ヶ原を救えたのだ。
  26.  
  27. 運命のような命題から逃れられない呪われた自分を愛す他、生きる道はないの。
  28.  
  29. 正しい価値観なんてものはないという考えは正しいのだけれども、少なくとも、自分が持つ価値観を、なぜ正しいのかは誰にだって説明できなきゃならないのよ。
  30.  
  31. 「ぼくは、私の妻と不倫したいの」
  32.  
  33. 完璧に価値観や相性が合う人なんてこの世にはいない。私がそういう人があなたにも必ずいると言うのは、そう勘違いさせてくれる人は必ずいるという意味で、だ。でもね、勘違いで十分なのよ。ドッペルゲンガーだと思わせてくれて出会った瞬間、二人とも死んじゃえばいいのよ。
  34.  
  35. 学歴なんて関係ないよ、と言えるのはこの日本では東大生だけだとして、私が学歴なんて関係ない、と言うのは、もうピエロで言っているのよ。
  36.  
  37. 踏んでるか、踏んでいないかでしょう。
  38.  
  39. 例えば、私が何かを馬鹿にしたとする。その対象に、目の前の人が入っていたとしても、私たちの信頼関係のもと、その話をしている時点で、それは目の前の人を馬鹿にするものでない、客観的な事実を話したまでだということを理解できないのだろうか。私の言い方が、やや挑発的であることは否めないが……。
  40.  
  41. 言い方を変えなくてはならないのだろうか。私がそこで折れると、目の前の人を信頼していないということになってしまう。私の勝手なのか。ただ信じているかどうかの踏み絵なのよ。大丈夫な場合に、種明かしをするのさ。誰だって信じていないからね。
  42.  
  43. 自分が飲みたくて飲みたくて仕方がなくて午後の紅茶を買ったのに、乾いている植木を見て、その私の心から欲していた水分を午後の紅茶に与える時、私は本当に愛に溢れている、共産主義者だな、と思う。
  44.  
  45. カッコいいままで死ぬことよりも、ダサくて生き恥晒してでも生きることを、本当にカッコいいと思える人間でありたい。
  46.  
  47. 私は、他人を「私」だと思っている。私は「私」を救うためだけに生きている。
  48.  
  49. 私の直近の夢はね、東京朝鮮高校で演説することだ。「お前らの考えは間違っている! お前らは強制的に連れてこられたことを論拠にしているが、それなら国へ帰れ! そうでないなら、お前らは自ら日本国で生きることを決めたんだよな! ならば起立」(君が代が流れる)「国歌斉唱!」。
  50.  
  51. 例えば精神論だが、在日というのは、一世のように生きねばならないと思う。泥をすすり、血と汗を舐め、人を殺して(注・比喩)生きていくんだ。現代で言えば、日本国の一員として社会の規範を守り、一生懸命働いて、死に物狂いで家族を守るんだよ。
  52.  
  53. 世間的には矛盾するかもしれないけれど、例えば、四六時中、理性だ理性だと言っている奴が、「この人は黒人だから嫌い」と言ったって、私はそこにちゃんとその人のポリシーを感じるわ。
  54.  
  55. 例えば、あなたのそのポリシーに、哲学に、思想に、システムに一貫性があるのなら、私はあなたが快楽殺人犯だって愛すのよ。
  56.  
  57. すべての人に共感してもらいたいとは思わない。いつだって世間とのズレを一番に意識している。誰よりも俗物なの。でもだからこそ、自分の言動がどれほど正しくて、美しいかを知っている。私の言動は、私が思う一番のものでなければならない。みんなだってそうよ? 覚悟がないことをやっちゃダメ。
  58.  
  59. それは何かをやってくれるとかではなく、ちゃんと手順を、論理を踏むってことだ。それを私は何よりも重んじる。要するに、筋だ。その上に感情が、怠惰が、愛が存在するのよ。私の生き方は変えられない。
  60.  
  61. こんなにも他人本位なのだから、これ以上折れることなどできない。これが、私の言う動物と人間に線を引くってことなの。
  62.  
  63. 互いにいい方向に勘違いしてふたりがひたすらに自分の中でだけ表と裏を行き来しながら相手と会話をする、要するに自分と会話をし続ける、これが恋でしょう。
  64.  
  65. 「お前とは親友だよな? 信じていいんだよな?」。なぁ、どうなんだよ!?
  66.  
  67. お前が馬鹿かどうかは俺が決める。だからお前は俺が馬鹿かどうかお前が決めろ。
  68.  
  69. 本当の女は男を男だと認識させるでしょう。本当の男は女を女だと認識させるでしょう。二人とも同性の中にいると、まるで異性のような存在なのに。
  70.  
  71. 苺ショートケーキの包装紙を舐めることは、その行為が大変にハシタナイことだと知っている場合にのみ許される。
  72.  
  73. 顔が性格で、性格が顔だよ。
  74.  
  75. あなたは私の前で裸になった。それを大勢の通行人が見ていた。あなたは言った。「私を裸にしてよ」。私はその女の脱いだ服を一枚ずつ着せていった。靴下と靴を履かせると、女は満足そうに私を見て微笑んだ。
  76.  
  77. 私を非現実的・理想主義的と批判するけど、私からするとあなたはとってもじゃないけど現実的でないのよ。私が言っている現実ってただ「現実」ということじゃないの。現実を経て、非現実を経て、現実に着地するってことなの。
 
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何番がお好き? vol.68

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  1. 映画『男はつらいよ』の一番の見どころは、寅とリリーの恋模様だろう。まるでフランス映画に出てくる男女のような大人っぽい関係にウットリする。寅はリリーとは似た者同士だと言うが、リリーはそう思っていない。だからリリーは何度も結婚し離婚するのだ。寅には「家」がある。その差はとても大きい。
  2.  
  3. 私以外の人間が存在する理由が私の世界の中では、ない。
  4.  
  5. 人と話すのは疲れる。緊張するからだ。そして自分を守るために私は喋る。確かに、他者がいなくては自分の存在を証明することなんてできないわけだが、私は恐らく、私はあるということ、それを他者という人間を介さずに証明したいのだと思う。要するに、私は私があることを私で証明したいのだ。
  6.  
  7. 社会と個人。在野でいたいと思った瞬間、それは在野とそうでないものを意識している。その瞬間、在野でもなんでもなくなると思うの。
  8.  
  9. 私が二十歳前後に信じて崇拝した「未来の私」は存在し得なかった。それは今となってわかることだが、あの頃描いたものに取って代わるようなものが、果たして今の私に描けるだろうか。
  10.  
  11. 俗世間に媚を売り、いわゆる人間に成り上がろうとする時、私たちはいずれにしても「個」でなくなる。
  12.  
  13. 残るものは、すべて他者、他物だ。ハナから我々は自分のものなんて何一つ持ち合わせていなかったんだ。私のこの身体だって、この思想だって、この常識も癖もすべて私のものではなかったんだ。それに気付けた時、私は私でなくなっていた。
  14.  
  15. 女にモテるための要素の一つに、本当に女が必要だと心の底から思っていることが挙げられると思う。それは別に女が好きでなくてもいいということだ。女が嫌いで嫌いで仕方がなくても、必要だと思っているかどうかがポイントなのである。
  16.  
  17. サプライズでプロポーズできる男が男らしくて、女に言われて結婚したやつが男らしくないだなんて思わない。やっぱりそういうものの見方をしたくない。もちろんその通りの人もいる。そいつらとわたしの言っている人間を見分けられる人間だけをわたしは信じている。
  18.  
  19. 私は、基本的に全体が見えてこない限り派手に暴れたりはしない人種なの。だって怖いじゃない? 私が知らないゾーンやラインで罠を仕掛けている人だっているかもしれないでしょう。
  20.  
  21. 「しかし私は迷信深い。万一息子が事故に遭ったり警官に撃たれたりした場合は心穏やかではなくなる。独房で首を吊ったりしても同じこと。例え雷に打たれて死んでもだ。私は諸君の中の一人の仕業と思う。決して許しはしない。」映画「ゴッドファーザー」より
  22.  
  23. 私は返事を待った。一日中、ポストの前で待った。しかし、届かなかった。気がつくと、私は手紙を出していないばかりか、紙や封筒、そしてペンさえも揃えていなかった。それでも私は今日も待っている。明日も待つことになるだろう。
  24.  
  25. みんな個人的な悩みを抱えている。どれほど馬鹿げていようが、それを批判したりする権利など誰もが持っていない。
  26.  
  27. 私は基本的には超だらしがなく、テキトーなので、よく周りの皆さんにご迷惑をおかけします。O型だからなのか、楽観主義者だからか、本当に“大体”で生きてきました。しかし、こと仕事に関しては、なるたけ時間通りに、丁寧に、ちゃんとやっているつもりです。それはなかなか骨が折れるもんです。
  28.  
  29. ある意味では、作品と作家は別物だと思う。私は、どれほど作り手が人格破綻者だろうが、“いい作品はいい”論者です。
  30.  
  31. 考え方というのは、その人間そのものである。
  32.  
  33. こちらが完全に正しいとしても相手を責めることは、私の罪悪感に火をつける。例えば、相手を責めていないとしても、いわゆる普通の会話をしていても、この自分の「温度」は相手にとって適切かどうか悩みに悩む。だから、気を許せて話せた試しなんてない。いつだってアウェイ、万歳。
  34.  
  35. 私が人前で不機嫌になるのは、その人のことが好きな証拠だ。
  36.  
  37. 死ぬということは美味しいということだ。
  38.  
  39. 私の言葉はね、19歳の女の子が20歳になるためにあるのよ。
  40.  
  41. たとえば、ぼくは女の子に元気が出るようにと本をプレゼントすることができる。たとえば、ぼくは女の子に元気が出るようにとデザートを買ってあげることができる。
  42. 持って出掛けた傘を、ちゃんと持って帰ってくることができるのが大人だと思う。
  43.  
  44. たとえば、罪悪感。たとえば、責任感。たとえるとするならば、落ち葉。
  45.  
  46. でも、メールが来ることが事前にわかることはよくあるんです。ネタばらしをすれば、それは私がそう願っているからであり、そう仕組んでいるからなんです。
  47.  
  48. Twitterで、社会に対してではなく、恋人や不倫・浮気相手などの好きな人に対して何か言っている人の方が好き。人間って感じがするし、それはそれはとっても哲学的なことを、誰しもが言っていたりするから。私が欲しいのは、不特定多数にかける言葉でなく、特定の人にかける言葉なの。
  49.  
  50. その人の為だけに考え作った言葉は、誰もが見れるような場所にどれほど晒されようと、それそのものの力は一切衰えない、と私は考えます。言葉を発した人が、誰かに見てほしいという邪な考えを持ったとしても、それは言葉を紡いだ後、あるいは前のことだからです。
  51.  
  52. 言えば言うほどドツボにはまるから言わないという選択肢は、私にはないの。そのまま地獄に落ちようが、言い続けるの。いいの、私の人生は私のものだから。ただ聞かれたら、その動機や構造を何から何まで説明できなくてはならない。
  53.  
  54. 結局、私たちは“お母さん”のために生きている。
  55.  
  56. みんな結局、“お母さん”に褒められたくて生きているのよ。絶対そうよ。
  57.  
  58. どんな人だろうと組織だろうと、そこで機能しているシステムさえ理解できれば、私はちゃんとそれに合ったものを提供できる。セオリーさえわかっちゃえば、例外にも対応できる。エアコンの単純な温度設定だけでなく、風向きや風量みたいなものもつかんでから、私はその部屋に入りたいの。
  59.  
  60. その場面においては「調和を乱すことこそが、調和」という美を私は信じている。
  61.  
  62. 私はズルい。だから他人のするズルにすぐ気付いてしまう。私はズルい。でも私は私がズルいことを知っているから、人と関わる時には、相当な覚悟がない限りズルしないの。
  63.  
  64. 私、本当異性の友達に恋愛感情を全く持たないことで有名なのよ。男友達だとは思っていない。とにかく妹みたいな感覚に近いと思う。ヤリたい妹に昇格したら、嫁にする。
  65.  
  66. すべては行動力。
  67.  
  68. 「本当の武道は、怪我をしないで長生きすることだ」
  69.  
  70. 夫婦別姓違憲訴訟は、壮大なのろけであり、金持ちの暇つぶしである。
  71.  
  72. 私の言葉は、全部ダブルミーニング
  73.  
  74. なるべく分かりにくい文章を書きたいと昔から思って書いてきた。でも、分かりにくい文章を書くには、分かりやすい文章を書けなくてはならないことに気づく。
  75.  
  76. 中二病って、ドストエフスキーの『罪と罰』をブックカバーをかけないで、その表紙を見せびらかすことではなく、それをハシタナイと思い、わざわざブックカバーをかけて電車でその本を読むことなのよ。わかるかしら。もうこういう考えを持った時点で中二病なのよ。だから私は表紙を見せびらかして読むの。
  77.  
  78. 世界はおにぎり化した。そして混沌としているように見える浮世は、実はピザ化しているのだった。
 
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何でもご依頼受けます。
@ 秋人間

掌編小説『革靴専門店』


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気が付くと、目の前に靴屋があった。
革靴専門店のようだ。
高級革靴店ではないようだが、そこいらの革靴店でもない。そのちょうど間くらいの門構えをしている。入り口は小さいが、店は大きな道路に面している。いわゆる路面店である。山手線のS駅とH駅の真ん中くらいに位置している。

私はその靴屋に入った。
扉を開くと、いらっしゃいませの声掛けが私に向かってされた。店員は私と目が合う前に私の靴を一瞥した。その後で私の目を見てにっこりと微笑んだ。

私はその場をすぐに立ち去りたかった。私はスニーカーを履いていたからだ。それに接客をする上でその品物を扱っている店員が客の身につけているその品物を真っ先に見るだなんて言語道断。失礼極まりない。

しかし私は妙な好奇心を持ってしまう。このような接客をする店員が他にどのような致命的な接客を今後するのか気になったのだ。私はただその好奇心のみでこの店に留まることにした。

店員は一人しかいないようだ。小さい店だった。しかしそこには沢山の革靴が綺麗に配置され、革の匂いが充満していた。私はこの匂いが大好きだった。品物もちゃんと選んできたものらしく店員は満足気な笑みを常に浮かべている。いわゆる靴のセレクトショップだった。恐らく私が声を掛ければ、サイズを聞きそのサイズの革靴を笑顔のままこの店員は出すだろう。

でも私はこの店員との直接的なコミュニケーションなしに、例の接客を見たかった。店員は相変わらず笑みを浮かべている。ふと店員の靴を私は見た。店員はスニーカーを履いていた。
あるまじき……、と私は思った。革靴専門店の店員がスニーカーを履いている。それで先ほど私より先に私の靴を見たのか。

私が店員の靴を見たせいか、一瞬にして店の雰囲気が変わったように思えた。もう革の匂いも一切してこなかった。
急に店員が私に近寄り話し掛けた。
「見ましたか?」
私は戸惑った。
「見ましたか?」と店員は念を押してきた。優しいような怖いような声だった。そこには感情の機微など一切ないようにとれた。
「何をです?」
「私の靴をですよ」
「いえ、見ていません」
「では私の靴が何なのかお分かりでしたらこの店の靴を一点無料で差し上げます。さあ当てて見てください」

店員の足元を見ると、真っ黒いビニール袋で両足とも覆われていて、上の方できっちりと結ばれていた。目が合うと先よりも強く微笑みながら店員は言った。
「さあ、お客様、お当て下さい」


続く)

2014年04月29日
秋人間

「回想記2」

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私が記憶する限り、幼稚園の年中さんあたりにはもうエロかった。私は自分の立場が、子供だということを盾に縦横無尽に女の裸を見ようと試みていた。ある時は、友人のお母さんが赤ちゃんとお風呂に入るとのことで、その赤ちゃんに触りたいというていでお風呂場に行き、裸を見ようとした。
しかし、それはいわゆる性欲とはかけ離れたものだった。ほとんど乳離れができていないことと同義だったように思う。
もしかすると、人間はお母さんがいないと生きられないのかもしれない。その「お母さん」というのは、特に血の繋がりを求めない、誤解を恐れないで言うと、ただただ「おっぱい」ということだ。

成人の性欲とは違えど、私は確信犯的に女の裸を見ようとしていたことは確かだった。

小学校三年生くらいの頃。家族で旅行に行った先のホテルの大浴場でのことだ。
母が先に女湯に入った後、父はいますぐに母に伝えなくてはならないことがあった。私はそこで「(女湯に入って)母に伝えてくる」と伝える。
すると、父は私を止めた。
いま思うと、私はその頃にはすでに敏感だった。人の言動の裏が透けて見えた。
父が私を止めた理由はすぐに理解できた。
結局、2歳年下の弟がその役割を担うことになった。
何より悔しく悲しかったことは、このとき私自身に「女の裸が見たい」というやましい思いは何一つなかったことだ。

私は、正当に評価されないことを忌み嫌う。たとえば、やっていないことをやっていると言われることには耐えられない。やや矛盾するが、やったことをやっていないと言われるのには少し耐えられる。
ただ自分の中では、罪悪感が芽生える。
罪悪感があれば、私は何をしてもいいとさえ思っている節がある。

2016年1月30日
秋人間

「回想記」

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大学に入学してすぐ、体育のような授業で20メートルシャトルランをやらされたわけですが、完全にサッカー部という格好で挑んだら、意外と女子ウケがよくてビックリしました。フットサルシューズから短パン、上着のピステまで、格好いいと褒められました。もしかすると、うちの大学には、女子校あがりが多いから珍しかったのかもしれないけれど……。

まだまだ私も調子に乗っていて、シャトルランも125回やり、最終的にはラグビー部の人と二人きりになってしまい、アイコンタクトで「俺たちピエロだな」ということで、止めることに。
拍手喝采だったのを覚えている。
その後、その授業には出なくなり、ほとんど休んだ挙句、ジネディーヌ・ジダンについての論文を書いて、なんとか単位をもらったということがありました。
 
その頃は、性交していない奴とシャトルラン125回できない人は、大学に入学すべきでないと本気で思っていた。
高校の時に、馬のように走らされた記憶がないやつは信じたくない。
そう思っていた。
しかし、そんなことができなくても、十分に気合いの入ったやつを私は見てきた。
そういう人たちを見ると、本当に感動する。どうしてそんなに気合いが入っているのか大変気になったものだ。
 
ーーあの頃の記憶。
雨の日に市営バスに乗り、重い鞄を持ち、今日の宿題はどのくらいあったか、などを一人で悶々としながら端っこの座席に座っていた。バスの中に、誰かがテイクアウトしたマクドナルドのポテトの匂いが充満してきた頃、私はちゃんと生きているのだか、ほとんど死んでいるのだかわからなくなった。なんの希望もなかった。
 
私には高校の頃まで自我など存在しなく、ただただ時に身を任せていたと思う。サッカーと勉強。それもそれなりに。何かこう、主体的に取り組んだというものはなかった。
浪人した時に初めて、自分にとっては「自由」というものを感じた。主体的に生きていると思った。本当は何もわかっていなかったけれど。
 
浪人時の私のひそかな夢は、たしか、「何にも拘束されず、鞄を持たずに白いスニーカーを履き、カフェで煙草を吸うこと」だった。
 
そう考えると私は大学デビュー、いや浪人デビューをした者なのかもしれない。髪の毛も坊主から一気に超ロングヘアーへと変わった。でもやっぱり、その時に馬鹿みたいに高い服を着て、イキがったからこそ、見えたこともあった。
ちょうどその頃に、村上龍内田春菊美輪明宏寺山修司山田詠美やらの作品を読み始めた。
 
今まで私が生きた世界とはまったく違っていた。
 
私は中学校の頃の夢であった「通訳者」を目指さなくなった。芸術に触れて生きていこう、と思った。その時に私ができることは、文章を書くことだった。それで作家を目指すことにした。とにかく、そう思ってからはmixiで毎日毎日、拙い文章を書いた。
 
言ってしまえば、私はいつだってモテたかった。それは特に、ゼックスがしたいとか、異性の身体に触りたいだとか、そういう欲求を叶えるためではなかった。
ただ、私の容姿や考え方、私自身を認めてもらいたかった、支持されたかった。それだけだった。でも、モテたいと思っていない人なんて、私は絶対に信じない。
 
2016.1.29.
秋人間